映画に感謝を捧ぐ! 「ファイナル・デッドクルーズ」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。  今回はオリヴァー・ブラックバーン監督の  「ファイナル・デッドクルーズ」に感謝を捧げようと思います。  クルーズ船で一夜を過ごすことになった  男女7人の運命を描いた本作は  教訓性と俗物性が交錯する  異色のサスペンス映画であります。  自制心の乏しさと軽率さによって  甘い船旅が凶悪なる殺人劇へと変異していく現象を  ポルノ的サービス精神とホラー的悪趣味の赴くままに  描くという試みは  私に、死亡事故による理性&判断力崩壊と  隠蔽体質がもたらす悲劇を  軽量映画流に描く手法の一形態を  目の当たりにする機会をもたらしました。  (「ファイナル・デスティネーション」シリーズ風の邦題によって  人々の関心をそそる手法が採用された作品の一つである点と  「ハッピー・エンド」に属しながらも  爽快感も安心感を感じさせない  陰鬱な幕切れとなっている点も見逃せません。)     まさ「内部抗争系船旅映画」史上屈指の  怪作であると言えるでしょう。  「空間限定サスペンス」の王道と    男性向け娯楽要素を組み合わせ  緩慢且つ即物的に進行する物語&映像が  人間の心中に潜む「悪魔」の目覚めと  暴力の連鎖の果てに待つ「空虚」を写し出す本作と    生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。