映画に感謝を捧ぐ! 「変態ピエロ」

映画弁護人GHM(西村哲也)です。  今回はブルーノ・メルル監督の「変態ピエロ」に  感謝を捧げようと思います。  歌手を誘拐したコメディアン「ピエール・フォレ」の  奇妙な運命を描いた本作は  暇つぶしと文学の関係を揺るがす脅威の怪作であります。  暴力&エロを抑制し、会話&独白重視の作風  複雑怪奇な時系列・抽象的映像の連打が  流血&人体破壊とは異なる猟奇的恐怖と  文芸作品とは異なる形態の「文学性」を引き起こす現象は  私に、見世物精神と「鑑賞者に考えさせる」精神が  微妙なバランスで共存する光景と    人気商売の光と闇を怪奇的に表現する技法の一端を  目の当たりにする機会をもたらしました。  (作品世界の常識を軽やかに破壊する幕切れが  「どんでん返しサスペンス」の持つ可能性の大きさ&危うさを  写し出している点も見逃せません。)  まさに「空間限定系サスペンス」史上屈指の奇抜さと  精神的凶悪性を感じさせる作品であると言えるでしょう。  不気味さ・陽気さ・凶暴さがせめぎ合いながら  難解な世界を構築していく姿に驚かされる本作と  生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。