映画に感謝を捧ぐ! 「アッシャー家の崩壊(1980年版)」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回はヤン・シュワンクマイエル監督の
「アッシャー家の崩壊(1980年版)」に感謝を捧げようと思います。
エドガー・アラン・ポーの同名小説をもとにして
1980年に作られた本作は
神秘性と見世物性が不気味に調和する異色作であります。
陰鬱なるアニメーション映像・小説的台詞回し
ホラー的効果音によって
「説明的でありながらも想像力をかき立てる世界」が
生成されていく光景は
私に、登場人物を写さずに「登場人物の心理」を描く技法
徹底した情報管理による「説明過多」の阻止
絵画的ムードとお化け屋敷的恐怖の共存
「滅亡」を映画的に表現する手法の一形態に
接する機会をもたらしました。
(冷徹なまでにクールな幕切れによって
「死に対する一考察」の領域に達している点も見逃せません。)
まさに「純文学系怪談」の雄と呼ぶべき作品であると言えるでしょう。
陰性ホームドラマの苦味・ホラーの恐怖・サスペンスの味わいが
約16分の中でせめぎ合いながら
滅び行く一族と滅亡の瞬間に立ち会った人間の思いを写し出す本作と
生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。