映画に感謝を捧ぐ! 「チザム」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回はアンドリュー・V・マクラグレン監督の「チザム」に
感謝を捧げようと思います。
1870年代のニュー・メキシコ州で繰り広げられた
「リンカーン郡戦争」をもとにして作られた本作は
史実と正統派西部劇の伝統がせめぎ合う実話系西部劇であります。
実在の人物&抗争を「勧善懲悪西部劇&J・ウェイン主演作」の公式に
合わせて加工することによって生を受けた
ストーリー・演出・キャラクターが勢い任せに突き進む光景は
私に、1970年代のアメリカ映画界を覆う
「西部劇衰退の波」に抗う人々の思いと
娯楽系歴史小説&我慢劇の醍醐味を目の当たりにする機会をもたらしました。
(歴史を「勧善懲悪の枠」に押し込めたまま
決着→幕切れに向かう勇気によって
後年の「イングロリアス・バスターズ」に通じる道を
切り開いた点も見逃せません。)
まさに「アメリカ流講談」後期を彩る
激しくも哀しい一作であると言えるでしょう。
東映任侠路線を思わせるようなストーリー展開と
正統派西部劇ならではの明瞭さ&スケール感を感じさせる風景が
アメリカ開拓史の分岐点に立たされた男たちと
アメリカ西部劇の衰退期に直面した
「A・V・マクラグレン監督&J・ウェイン」の思いを写し出す本作と
生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。