映画に感謝を捧ぐ! 「パパってなに?」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回はパーウェル・チュフライ監督の「パパってなに?」に
感謝を捧げようと思います。
1950年代のソビエトで暮らす母子と偽軍人の
運命を描いた本作は
冷たくも和やかなロシア&フランス製子供映画であります。
泥棒映画・ホームドラマ・道中劇を融合させながら
静かに進行していくストーリーと
暴力&犯罪・性行為・愛憎を
日常劇の手法で表現する演出法が一体となって
「スターリン時代」の一角を写し出す光景は
私に「史劇と人情劇の平和的共存」と
「大人社会が子供に与える影響」を娯楽的盛り上げ・感動誘発・説教的描写に
依存することなく描く技法の一端を
目の当たりにする機会をもたらしました。
(死と不信の香り漂う「通過儀礼」を冷徹なまでの穏やかさで表現した幕切れが
「人生の残酷さ&奥深さ」を体現している点も見逃せません。)
まさに「陰鬱系子供映画」界の静かなる強豪作であると言えるでしょう。
穏やかな凶悪さを感じさせる物語+寒々とした風景&登場人物によって
「時代&子供心を映す鏡」の一つとなった本作と
生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。