映画に感謝を捧ぐ! 「パニック・ウォーター」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。  今回はビヨトル・ウザロヴィッチ監督の「パニック・ウォーター」に  感謝を捧げようと思います。 夜のヨット・パーティーに参加した人々を襲う  惨劇を描いた本作は  軽薄にして陰鬱なブラック・ユーモアに彩られた  サスペンス・ホラーであります。    多種多様な殺人テクニック・本筋と無関係な「ホラー的情報」  記号的&薄味を極めるかのようなキャラクター造形  連続殺人事件が発生しているにもかかわらず  スリル&サスペンスをほとんど感じさせないストーリー&演出が  一体となる光景は  私に「パーティー」が人間にもたらす麻痺症状・友情のはかなさ  空間限定映画作りの難しさ  隠蔽体質&情報過多がもたらす悲劇を  暇つぶし映画流に表現する手法の一形態を  目の当たりにする機会をもたらしました。      (強引でありながらも説得力を感じさせる「真相」が  人間社会が抱える「病理」の一つを象徴している点も  見逃せません。)  まさに「残酷風刺系乗り物サスペンス」史上屈指の  珍作であると言えるでしょう。  不快感に溢れた人間関係・思わせぶりの嵐  既視感満載の殺人描写が  殺人の残酷さ&悲劇性を抑制する現象に戦慄を禁じ得ない本作と  生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。