映画に感謝を捧ぐ! 「渇いた太陽(1962年版)」

映画弁護人GHM(西村哲也)です。  今回はリチャード・ブルックス監督の「渇いた太陽(1962年版)」に  感謝を捧げようと思います。  テネシー・ウィリアムズの戯曲「青春の甘き小鳥」を  もとにして1962年に作られた本作は  主演男優P・ニューマンのアウトロー気質  1960年代のアメリカ事情・アメリカ流青春映画の伝統  舞台劇風味が絶妙のバランスで配合された作品であります。  野心的な主人公・浮世離れした女優  アメリカ社会の光と闇を体現する地域住人が繰り広げる  複雑怪奇な人間模様と  素朴な風景・舞台的ムード漂う俳優&女優陣が結びつくことによって  物語の陰鬱さが鮮明化されていく現象は  私に、1960年代のアメリカを覆う「暗黒」の一端  上流社会&サクセス・ストーリーに潜む狂気  映画倫理規定の枠を守りつつ、過激な題材に挑む  知略・技術・勇気を目の当たりにする機会をもたらしました。  (典型的ハッピー・エンドの形態を取りながらも  苦さと不吉さを感じさせる幕切れとなっている点も見逃せません。)  まさに「陰性青春映画」の静かなる強豪作であると言えるでしょう。  スター映画的華やかさを保ちつつ  人気商売の落とし穴・権力者&閉鎖社会の病理に向き合うことによって  1960~70年代の映画界を覆う「反抗期」の  幕開けを告げる作品の一つとなった本作と  生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。