映画に感謝を捧ぐ! 「ドン・ファン(1970年版)」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回はヤン・シュヴァンクマイエル監督の
「ドン・ファン(1970年版)」に感謝を捧げようと思います。
「ドン・ファン」の伝説をもとにして1970年に作られた本作は
貪欲にして軽快な「舞台風映画」であります。
人形劇・剣劇・怪奇劇・舞台劇の技法が融合することによって
バイオレンス・ユーモア・教訓性に溢れた中世が構成されていく光景は
私に「ソード・アクション」とホラーの類似性
上品さと下世話性・残虐性と滑稽さを共存させる技法の一端を
目の当たりにする機会をもたらしました。
(教訓劇的に幕を閉じると見せかけて
「突っ込みの一言」によってブラック・ユーモアへと
転じる幕切れとなっている点も見逃せません。)
まさに「残酷童話系映画」の軽量なる強豪作であると言えるでしょう。
不気味さ&無情さの中に「笑い」を宿すことによって
憎悪と欲望の赴くままに生きる人間の愚かしさを写し出すと同時に
伝統芸能と映画技法を繋ぐ「絆」を示した本作と
生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。