映画に感謝を捧ぐ! 「トム・ホーン」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。  今回はウィリアム・ウィアード監督の「トム・ホーン」に  感謝を捧げようと思います。   西部開拓時代の賞金稼ぎ「トム・ホーン」の自伝を    もとにして作られた本作は  実話系西部劇史上屈指の「残酷さ&哀愁」を放つ作品であります。  「開拓&カウボーイの時代」を象徴する男の晩年を  冷徹な目線で描いたストーリー  娯楽西部劇の醍醐味を意図的に抑制した演出  主演男優S・マックイーン後期の「渋み」が一体となる光景は  私に「時代の転換期に翻弄される」・「命がけで戦う人間が馬鹿を見る」  「政治的思惑とイメージによって刑罰が執行される」恐怖と  1970年代のアメリカ映画を覆う「反抗精神」と  開拓時代の「真実」に向き合う勇気が  王道西部劇に与えた傷の深さを目の当たりにする機会をもたらしました。   (「壮絶なる最期」・「真相究明」すら許されないまま訪れる幕切れが  「西部劇ヒーローの終焉」を体現している点も見逃せません。)  まさに「アメリカ流勧善懲悪西部劇」への鎮魂歌と呼ぶにふさわしい  作品の一つであると言えるでしょう。  娯楽西部劇の衣を纏いながら  S・マックイーン&西部劇に訪れた「死の気配」を具現化した本作と   生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。