映画に感謝を捧ぐ! 「コントラクト・キラー」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回はアキ・カウリスマキ監督の「コントラクト・キラー」に
感謝を捧げようと思います。
自殺するために殺し屋を雇った男「アンリ」と
彼を取り巻く人々の運命を描いた本作は
人情と不人情が穏やかに交錯する
異色の殺し屋映画であります。
人生に対する絶望・愛の日々・暴力を同等のクールさ&穏やかさで表現した
ストーリー&演出と
説明的演技を極限まで抑制した俳優・女優陣が
一体となる光景は
私に「生と死の秘めたる近似性」・「静かなるブラック・ユーモア」
「物理的死と精神的死の関係」を
サスペンス&ラブストーリー的に写し出す妙技を
目の当たりにする機会をもたらしました。
(絶望と希望・愛と友情を静かに体現した「決着」が
ハッピー・エンドとも悲劇とも異なる味わいを
感じさせる点も見逃せません。)
まさに「日常系殺し屋映画」と「死生論映画」を
同時に抱えながら静かに歩んでいく作品であると言えるでしょう。
A・カウリスマキ監督作特有の「穏やかにして残酷な世界」の中において
死と愛が静かに結びついていく姿が
感動と恐怖の入り交じった感情を呼び起こす本作と
生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。