映画に感謝を捧ぐ! 「ノートルダムのせむし男(1923年版)」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回はウォーレス・ワースリー監督の
「ノートルダムのせむし男(1923年版)」に感謝を捧げようと思います。
ヴィクトル・ユーゴーの小説「ノートルダム・ド・パリ」を
もとにして1923年に作られた本作は
「映画版ノートルダムのせむし男」の幕開けを告げた
歴史的サイレント映画であります。
恋愛悲劇・モンスター映画・歴史大作の手法が
互いの特性を生かしながら融合することによって
現代にも通じる「中世ヨーロッパの暗部」を写し出していく光景は
私に「見世物性・文学性・社会性」が共存可能な存在である事と
暴力による支配がもたらす「危険要素」を
派手な暴力描写に依存することなく表現する妙技を
目の当たりにする機会をもたらしました。
(ハッピー・エンドと悲劇が並び立つ幕切れが
人間社会の雄大さ&無情さを示している点も見逃せません。)
まさに「怪奇風恋愛大作」初期を彩る強豪作であると言えるでしょう。
華麗なる舞台・主演男優L・チェイニーの怪演
サイレント&白黒映像ならではの輝きを放つ映像技によって
モンスター&超常現象とは異なる形の「怪奇恐怖」と
正義&愛の「偉大さ&危うさ」・刑罰に潜むサディズムを世に示した本作と
生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。