映画に感謝を捧ぐ 「殺しが静かにやってくる」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。  今回はセルジオ・コルブッチ監督の「殺しが静かにやってくる」に  感謝を捧げようと思います。    「サイレント」の異名を持つガンマンと  彼を取り巻く人々の運命を描いた本作は  大胆にして人間的なイタリア西部劇であります。  不気味なまでにクールな正義漢&残酷にしてユーモラスな悪漢という構図  西部劇の王道を駆使して「時代の変化」に  翻弄される人々を描いたストーリー  西部劇の流儀とイタリア的残酷趣味が  バランス良く配合されたアクションが一体となる光景は  私に「勧善懲悪劇における悪漢の重要性」と  正義という旗印の持つ「危険要素」について  再認識する機会をもたらしました。  (娯楽的ご都合主義に背を向けた現実的な幕切れが  アメリカ映画的ハッピー・エンドにはない味わい深さを放ちつつ  歴史の真実を示している点も見逃せません。)  まさに「ブラック・ユーモア系イタリア西部劇」屈指の  大胆不敵な強豪作であると言えるでしょう。  勧善懲悪の図式に従いながらも  善悪の二元論を越えた男たちの生き様によって  娯楽的サービス精神と残酷文学性の共存を可能にした本作と  生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。