映画に感謝を捧ぐ! 「ビッグケーヒル」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回はアンドリュー・V・マクラグレン監督の
「ビッグケーヒル」に感謝を捧げようと思います。
連邦保安官J・D・ケーヒルと息子2人の運命を描いた本作は
皮肉と哀愁に彩られた西部劇であります。
A・V・マクラグレン監督+J・ウェイン+勧善懲悪という
アメリカ西部劇の方程式に即した組み合わせであるにもかかわらず
正統派西部劇ならではの「見せ場&爽快感」が抑圧されてしまうという現象は
私に「西部劇とアクション映画の境目」が静かに崩壊していく光景と
1870年代のアメリカ映画界における西部劇の立ち位置を
目の当たりにする機会をもたらしました。
(J・ウェイン主演西部劇の王道に沿ったハッピー・エンドでありながらも
苦味&哀愁を感じさせる幕切れとなっている点も見逃せません。)
まさに娯楽西部劇の衰退期に生を受けた
悲運の「ホームドラマ系西部劇」であると言えるでしょう。
「保安官」として生きることによって
家庭不和をもたらした主人公と
正統派西部劇の世界に人生を捧げる事によって
映画史の転換期に取り残された男たちの苦悩が融合することによって
歴史の残酷さを感じさせる作品の一つとなった本作と
生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。