映画に感謝を捧ぐ! 「旋風の中に馬を進めろ」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。    今回はモンテ・ヘルマン監督の「旋風の中に馬を進めろ」に  感謝を捧げようと思います。   故郷を目指すカウボーイ3人組の運命を描いた本作は  冷酷にして文学的な西部劇であります。    西部劇史上屈指の「理不尽さ&非情さ」に満ちたストーリーと  娯楽的盛り上げを抑制した無愛想且つ野性的な演出が融合し  アメリカ西部劇の王道に「静かなる刃」を放つ西部劇が生成されていく光景は  私に、正義の暴力によって善人が「悪」に汚染される恐怖と  勧善懲悪西部劇の「偽善性&凶暴性」に反抗する男たちの勇姿を  目の当たりにする機会をもたらしました。  (西部劇型ハッピー・エンドの形態を取りながら  凄まじいほどの「絶望感」を感じさせる幕切れが  正統派西部劇の崩壊が迫っていることを写し出している点も  見逃せません。)  まさに「陰鬱系巻き込まれ西部劇」の雄と呼ぶにふさわしい  過激作であると言えるでしょう。  道中西部劇の王道にM・ヘルマン監督&J・ニコルソンの  反権威精神&暗き文学性が加わる事によって  苦味と風刺の効いた西部劇となった本作と  生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。