映画に感謝を捧ぐ! 「スペイン一家監禁事件」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。  今回はミゲル・アンヘラ・ヴィヴァス監督の  「スペイン一家監禁事件」に感謝を捧げようと思います。 引っ越し先で強盗団に襲われた3人家族の運命を描いた本作は  実録風味とサディズムが交錯する怪作であります。  犯罪映画の定番に即したストーリーを  「庶民的な主人公一家Vs無軌道な強盗団」という構図  疑似実録映画と米ドラマ「24」の技法を融合させ  「娯楽的盛り上げ」を極限まで抑制し、生々しさを追求した映像によって  粘着的な猟奇性と実話系ムードのある作品に仕立て上げるという試みは  私に、「節約精神&見世物精神」が荒れ狂うことによって  現実感を生み出されるという怪現象と  映画における「暴力&犯罪」が娯楽的に加工された存在であるという真理を  目の当たりにさせられる機会をもたらしました。  (娯楽映画的ハッピー・エンドを逆手に取った幕切れが  作品世界の凶悪性をより鮮明な物にしている点も見逃せません。)  まさに「空間&時間限定型犯罪ホラー」界の  堅実なる強豪作であると言えるでしょう。  コンパクトな世界から発せられる「壮絶なる不快感」によって  犯罪が「段階的に凶暴化する存在」である事と  正義と悪が「暴力」と言う絆で結ばれた存在である事を写し出す本作と  生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。