映画に感謝を捧ぐ! 「特別な一日」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回はエットーレ・スコラ監督の「特別な1日」に
感謝を捧げようと思います。
1939年のローマで繰り広げられる
男女2人の「特別な1日」を描いた本作は
甘いロマンスと苦い現実がせめぎ合う恋愛映画であります。
世界に愛を捧げ、裏切られた男女のロマンスと
第2次大戦を目前としたイタリアを覆う「熱気」が
穏やかな生活感に満ちあふれた風景の中でぶつかり合う光景は
私に、スター映画的恋愛模様の衣を纏いながら
イタリアの一時代を糾弾する刃と
不幸の強調や登場人物の死に依存することなく生み出される
「感動」に接する機会をもたらしました。
(記録映像の効果的な使い方を示している点と
鑑賞者を突き放すかのような幕切れが
一言の台詞を発することなく
第2次大戦におけるイタリアの運命を象徴している点も
見逃せません。)
まさに「イタリア製社会派恋愛劇」の雄と呼ぶにふさわしい
作品であると言えるでしょう。
S・ローレン&M・マストロヤンニの名コンビが放つ
ロマンティックな魅力と
ファシストに対する静かなる怒りが
驚異的なバランス感覚で共存する本作と
生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。