映画に感謝を捧ぐ! 「ワンダラーズ」

 映画感謝人GHM(西村哲也)です。  今回はフィリップ・カウフマン監督の「ワンダラーズ」に  感謝を捧げようと思います。  リチャード・プライスの同名小説をもとにして作られた本作は  驚異的なバランス感覚によって  アメリカ社会が抱える病理をえぐり出す青春映画であります。  アクション、ロマンス、サクセス・ストーリー  ホラー、権力批判、人種問題がバランス良く配合されたストーリーと  MTV的スピードで進行しながらも渋味の効いた演出  陽気でありながらも苦味を感じさせる挿入曲  コミック的外見でありながらも現実感溢れるキャラクターが  一体となる光景は  私に、1970年代映画と80年代映画の境目に立つ感覚と  知性とアウトロー気質の平和的共存の一形態を  目の当たりにする機会をもたらしました。  (「人種」の枠を越えた友情と  人生の通過儀礼をユーモラスに描いた幕切れが  能天気なハッピー・エンドとは異なる味わい深さと  静かなる哀愁をもたらしている点も見逃せません。)  まさに「ジャンル融合型青春映画」史上屈指の  頭脳と技術を感じさせる作品であると言えるでしょう。  JFK暗殺、ベトナム戦争批判、人種対立といった  重いテーマを扱いながらも説教臭を感じさせない  類い希なる青春映画である本作と  生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。