映画に感謝を捧ぐ! 「喰いついたら放すな」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回はジョン・ギラーミン監督の「喰いついたら放すな」に
感謝を捧げようと思います。
盗まれた車を探す男「ジョニー」の運命を描いた本作は
軽量な外見の中に苦味を宿す巻き込まれ映画であります。
車を奪われたことによって職を追われ
不屈の執念によって孤独の闇へと落ちていく主人公と
主人公の執念によってペースを乱され
精神と人生を破壊されていく悪漢を
クール且つ軽快な映像と
軽妙且つ品のある音楽を駆使して描くという試みは
私に「犯罪の間接被害」を世に訴えると同時に
正義と悪の近似性を写し出す手法の一形態を
目の当たりにする機会をもたらしました。
(勧善懲悪的でありながらも
「事件の解決=ハッピー・エンド」ではないことを
象徴する幕切れとなっている点も見逃せません。)
まさに「娯楽系犯罪論」の一翼を担う堅実作であると言えるでしょう。
犯罪がもたらす精神的影響を
闘いによって心を壊していく男2人
彼らに翻弄される女性達
「大作系監督」化する前のJ・ギラーミン監督の渋味の効いた演出が
「娯楽的ヒーロー&悪漢」とは異なる魅力と恐怖を放つ本作と
生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。