映画に感謝を捧ぐ! 「扉の影に誰かいる」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。  今回はニコラス・ジェスネール監督の「扉の影に誰かいる」に  感謝を捧げようと思います。   ジャック・ロベールの同名小説をもとにして作られた本作は  奇抜な発想と教訓性に彩られた記憶喪失映画であります。  ミステリー&コンビ映画の特性を利用して  記憶と人格、狂気と愛の関係に踏み込んだストーリー  猛将C・ブロンソンと呪われた怪優A・パーキンスの  持ち味を生かしつつ「秘めたる繊細さ」を引き出す  キャスティング・センス  映像的インパクトに依存しない  渋い演出が一体となる光景は  私に、感情移入と打算の入り交じった人間関係と  強者によって人生を「編集」される恐怖を  目の当たりにする機会をもたらしました。     (愛によって「勝利の杯」を自ら打ち砕く幕切れが  素人犯罪の限界と愛の強さを  体現している点も見逃せません。)  まさに「精神系サスペンス」の静かなる強豪作であると言えるでしょう。  軽量な外見の中に人生訓、犯罪論、心理学を宿す本作と  生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。