映画に感謝を捧ぐ! 「三代目襲名」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回は小沢茂弘監督の「三代目襲名」に
感謝を捧げようと思います。
1973年の映画「山口組三代目」の
続編に当たる本作は
東映極道映画の伝統に則しつつ
史劇力を強化した実話系極道映画であります。
東映実録路線・西部劇・史劇の手法を使い分けながら
第2次大戦期~大戦終了後の日本を覆う「混沌」と
時代の流れと権力の思惑に翻弄され
犠牲となる庶民の姿を描こうという挑戦は
私に極道会の覇者を通じて「歴史の暗部」と
「権力・庶民・極道の複雑な関係」に踏み込む大胆さ
特定の民族を「悪役」として描かなければならない状況にあっても
彼らの思いと向き合うことによって、中立的目線を保とうとする理性
娯楽映画的魅力を保ち続けようとするサービス精神が
絶妙のバランスで共存する光景を
目の当たりにする機会をもたらしました。
(大作的スケール感を感じさせると同時に
本作に関わった人々の「苦難」を感じずにはいられない
複雑な幕切れとなっている点も見逃せません。)
まさに「庶民派歴史大作」屈指の過激作にして
「娯楽的昭和論」の一翼を担う強豪作であると言えるでしょう。
政治的&国際的に危険な題材を
壮絶な勇気と繊細さを以て描くことによって
戦争の残酷さ・憎悪の連鎖が生み出す恐怖
人種&立場の壁を越えて繋がる「男気」と
不屈の闘志&人情が放つ未来への希望を
世に示した本作と
生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。