映画に感謝を捧ぐ! 「ワイルド・エンジェル」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。  今回はロジャー・コーマン監督の「ワイルド・エンジェル」に  感謝を捧げようと思います。  暴走族「ヘルズ・エンジェルズ」の運命を描いた本作は  アメリカ大衆娯楽界の黒幕R・コーマンと  スタッフ陣の技術力&人間力  アメリカ映画界を彩る「反逆児」の一人でありながらも  紳士的ムードに包まれた俳優P・フォンダと  庶民的ムードとアウトロー気質を兼ね備えた  共演者陣の魅力によって  外見以上の歴史的価値を放つ青春映画であります。  大衆娯楽の定番「暴力・お色気・反権力」を取り入れつつ  1960年代後半のアメリカを覆う「混沌」を  写し出したストーリー&キャラクターと  「本物」の起用&ロケーション主義、娯楽的誇張の抑制によって  作品世界の現実感を高める手法が一体となる光景は  私に「若者文化に寄り添いつつも、全てを肯定しない」理性  社会派と娯楽派、ユーモアとシリアスの均整を保つバランス感覚  大予算を駆使した映像テクノロジー&スターに依存することなく  物語&映像を作り出す勇気&堅実さが  一堂に会する姿を目の当たりにする機会をもたらしました。  (アウトローの自由奔放さに隠された「虚しさ」を体現した幕切れが  1960年代のアメリカに広がる迷走感&反ハッピー・エンド精神を  感じさせる点も見逃せません。)  まさに「アメリカ製暴走族映画」の道しるべと呼ぶにふさわしい  一作であると言えるでしょう。  後年の「イージー・ライダー」等に通じる道を切り開き  1970年代のアメリカ映画界に訪れた「反抗期」を先取りした  作品の一つである本作と  生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。