映画に感謝を捧ぐ! 「顔のない悪魔」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回はアーサー・クラブトゥリー監督の「顔のない悪魔」に
感謝を捧げようと思います。
カナダの米空軍基地周辺で巻き起こる怪事件の
謎に迫る人々の運命を描いた本作は
軽量でありながらも鋭いモンスター映画であります。
1950年代の段階で「原子炉&米軍基地批判」に
挑む先見性&勇気
モンスターの正体を曖昧化することによって
神秘性をかき立てる戦術性
派手な特殊効果&残酷描写に依存することなく
物語を盛り上げる被害者俳優の熱演
俳優&女優陣とアニメーション映像を巧みに共存させる技術力が
一体となる光景は
私に「アイデア製&社会性」のあるモンスター映画の醍醐味と
モンスター映画における「被害者演技」の重要性を
目の当たりにする機会をもたらしました。
(科学的問題点よりも娯楽的盛り上げにこだわった「解決法」と
社会派的メッセージを後退させ
「米軍礼賛&ハッピー・エンド主義」に徹した幕切れが
軽量SF映画の宿命を感じさせる点も見逃せません。)
まさに「過激派+知略派モンスター映画」の一翼を担う作品であると言えるでしょう。
科学者、軍隊、原発を凶暴に皮肉る「脳型モンスター」の勇姿と
勧善懲悪の爽快感を抑制し
正義を振りかざす人間の狂気をえぐり出す残酷描写が冴え渡る本作と
生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。