映画に感謝を捧ぐ! 「チェチェン包囲網」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回はアレクセイ・ウチーチェリ監督の「チェチェン包囲網」に
感謝を捧げようと思います。
チェチェンでの任務中に遭難したロシア軍兵士2人と
彼らに捕らえられたチェチェン人の運命を描いた本作は
穏やかで苦いロシア&ブルガリア製戦争映画であります。
戦闘シーンよりも人間模様に重きを置き
様々な部分を曖昧にしながら進行していくストーリー&演出は
私に、異文化交流と逃避行を同時体験する感覚と
派手なアクション&残酷描写に依存することなく
「戦争の全体像を知らされることなく戦わされる」恐怖を伝える技法の一形態を
目の当たりにする機会をもたらしました。
(アメリカ映画的能天気さを廃した「現実的」なハッピー・エンドが
戦場に生きる人間の宿命を写し出している点も見逃せません。)
まさに「道中系戦争映画」史上屈指の
穏健さと陰鬱さに包まれた作品であると言えるでしょう。
静かなるスリル&サスペンス、ロシア軍礼賛
反戦メッセージがせめぎ合う本作と
生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。