映画に感謝を捧ぐ! 「山口組外伝 九州侵攻作戦」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。  今回は山下耕作監督の「山口組外伝 九州侵攻作戦」に  感謝を捧げようと思います。  夜桜銀次(平尾国人)の生涯をもとにして作られた本作は  凶暴にしてユーモラスな  実話系極道映画の怪作であります。  1本の映画内において  バイオレンス&エロティシズムと喜劇調  男気と暴力衝動・現実的暴力&策謀と娯楽アクションの風味が  激しくも哀しくせめぎ合うことによって  複雑怪奇でありながらも男気のある世界と  反倫理的&理解困難でありながらも  不思議な魅力を感じさせる主人公が生成されていく現象は  私に「人心」の底知れ無さ・昭和史の暗黒面  極道の世界に生きる人間の光と闇  凶暴さと滑稽さの近似性を目の当たりにする機会をもたらしました。  (娯楽映画的クライマックスに背を向けて  「時代の転機」を体現するかのような渋い幕切れへと  着地している点も見逃せません。)  まさに「和製極道講談」史上屈指の過激作であると言えるでしょう。  主演男優菅原文太の放つ「アウトロー風味」  東映が誇る「強面俳優陣」・実録路線特有の「濃厚なる暴力&性描写」  独自の倫理観&忠誠心・壮絶なる暴力気質によって  「争いの火種」と化した男と  憎悪の連鎖によって広がっていく「暴力」に対する  鋭くも優しい目線が冴え渡る本作と  生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。