映画に感謝を捧ぐ! 「殺人鬼(1983年版)」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
2016年最後となる今回は
J・リー・トンプソン監督の「殺人鬼(1983年版)」に
感謝を捧げようと思います。
女性を狙う殺人犯に立ち向かう刑事の運命を描いた本作は
J・L・トンプソン監督&C・ブロンソンの名コンビによる4作目にして
驚愕の異色作であります。
「法律と正義の乖離に苦悩する刑事」に挑むC・ブロンソン
繊細な風貌、知略、狂気を兼ね備えた敵役
回想場面を駆使した犯人の心理描写と
過激なお色気&残酷描写を駆使した映像
陰鬱に進行していくストーリーが一体となる光景は
私に「自らの良心を守りながら悪と闘う」事の難しさ
変態性と計画性が共存する犯罪手法の一形態
1970年代気質と1980年代気質の中間に立つ世界が放つ
狂気を目の当たりにする機会をもたらしました。
(勧善懲悪的決着であるにもかかわらず
爽快感よりも虚しさを感じさせる幕切れとなっている点も見逃せません。)
まさに「社会派風軽量サスペンス」の一翼を担う作品であると言えるでしょう。
J・L・トンプソン監督&C・ブロンソンならではの持ち味
キャノン・フィルムズ的サービス精神、法治主義に対する疑念
正義漢に潜む「猟奇性」を見抜く目線が一堂に会した本作と
生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。
追伸 皆様のおかげで「西村哲也の弁護系映画論」は
無事に2016年を乗り切ることができました。
来年もよろしくお願いします。