映画に感謝を捧ぐ! 「突撃」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回はスタンリー・キューブリック監督の「突撃」に
感謝を捧げようと思います。
ハンフリー・コッブの実話系小説
「Paths of Glory」をもとにして作られた本作は
静かなる怒りに包まれた実話系戦争映画であります。
戦地の現状よりも
政治家や報道機関に対する「宣伝効果」に重きを置いた作戦と
上層部の保身と士気向上のために「罪人」に仕立て上げられ
処刑されることになった兵士3人の運命を
軍事アクション、法廷サスペンス、群像劇の手法を融合させつつ
クールに描いていくストーリー&演出は
私に「組織の論理と個人の良心の対立」・「イメージと現実の乖離」が
もたらす悲劇を映画的に表現する手法と
「軽量級のスケール感で重量級のメッセージを放つ」作品の醍醐味を
目の当たりにする機会をもたらしました。
(「諸悪の根源」が無傷で勝利する恐怖と
戦争がもたらすモラル荒廃が支配する状況下に
一筋の「希望」を見いだす幕切れとなっている点も見逃せません。)
まさに「内部抗争系戦争映画」の雄と呼ぶにふさわしい
強豪作であると言えるでしょう。
「ハリウッド映画」の王道的スタイルに抗う男たち
「武勇伝を求める人々」に対する恐怖心
集客を目的とした「娯楽的盛り上げ&状況説明描写」を
抑制する効率主義が一堂に会することによって
反戦映画の枠を越え、組織論の領域に到達した戦争映画となった本作と
生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。