映画に感謝を捧ぐ! 「アデルの恋の物語」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。  今回はフランソワ・トリュフォー監督の「アデルの恋の物語」に  感謝を捧げようと思います。  アデル・ユゴーの生涯をもとにして作られた本作は  上品な狂気と先見性に彩られた実話系女性映画であります。  父「V・ユゴー」から受け継いだ創作力と壮絶なる純愛気質によって  「ストーカー」の先取り的存在となった女性の運命を  サスペンスとロマンス、文学性と大衆性をバランス良く配合した   ストーリー&演出によって静かに描いていくという試みは  私に「愛情&作家魂の暗黒面」・「現実とイメージの乖離がもたらす悲劇」  「品格と狂気の融合による科学反応」の一形態を    目の当たりにする機会をもたらしました。  (愛情と信念によって「現実」の枠を越え  「脳内世界」の住人として生涯を閉じたヒロインの姿が  ある種の感動を呼び起こす幕切れとなっている点も見逃せません。)    まさに「異常心理系実話系純愛劇」の雄と呼ぶにふさわしい    作品であると言えるでしょう。  知略&文学的才能の限りを尽くして  「愛」という名の宗教に身を捧げたヒロインの生き様によって  女性&金銭に対して軽薄な男が「神格化」され  人生を狂わされていく姿に圧倒される本作と  生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。