映画に感謝を捧ぐ! 「抵抗 死刑囚は逃げた」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。  今回はロベール・ブレッソン監督の「抵抗 死刑囚は逃げた」に  感謝を捧げようと思います。  アンドレ・ドゥヴィニの回想記「死刑囚は逃げた」を  もとにして作られた本作は  冷徹なるスリル&サスペンスに彩られた実話系脱走映画であります。  第2次大戦期の「モンリュック監獄」で繰り広げられる  常に冷静な主人公と仲間たちの脱獄計画を  娯楽的盛り上げを極限まで抑制し  クールに写し出していくストーリー&演出は  私に「史実に即した物語にスリル&サスペンスを与える技法」  「心の声を多用しつつ、説明過多を防ぐ妙技」  「脱走映画における段取り描写の重要性」  「文学性と娯楽性の融合」の一形態を  目の当たりにする機会をもたらしました。  (静けさの中に「神秘性」を感じさせる幕切れとなっている点も  見逃せません。)  まさに「純文学系脱走映画」の雄と呼ぶにふさわしい  作品であると言えるでしょう。  丹念なる過程の積み上げ  映像的インパクトに依存しない恐怖の生成  スケール感の適性管理  ヨーロッパ的渋味に満ちたキャスティング&キャラクター造形によって  後年の脱走映画&TVドラマに対する「道しるべ」となった本作と  生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。