映画に感謝を捧ぐ! 「死刑執行おだぶつTV」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。  今回はマーク・ピロー監督の「死刑執行おだぶつTV」に  感謝を捧げようと思います。  バラエティ番組「おだぶつTV」の司会者  チャック・トーランの運命を描いた本作は  悪食趣味と風刺性が複雑に絡み合う残酷喜劇であります。  見世物的アイデアに満ちた「殺人方法」を  引き立てるために進行しつつ  エンターテインメントの狂気と  社会正義を振りかざす人間が陥りやすい  「目先の問題を攻撃し、根本的な問題に目を向けない」状態を  えぐり出していくストーリーと  「TV番組風味」に彩られた演出が一体となる光景は  私に、俗物性&残酷趣味の極限に向かうことによって  独特の教訓性&文学性を得てしまうという現象と  残酷&醜悪な状況を和やかに表現する技法の一端を  目の当たりにする機会をもたらしました。  (殺人ショーの狂気から解放された主人公が  「新たなる狂気」に向かって邁進する後日談が  娯楽産業&ビジネス社会の背徳的魅力と残虐性を  写し出している点も見逃せません。)  まさに「ブラック・ユーモア系アトラクション・ムービー」の  雄と呼ぶにふさわしい  偉大なる珍作と言えるでしょう。  安物感&悪食趣味感満載の映像&物語の中に  後年の「ファイナル・デスティネーション」シリーズに通じる発想  死刑囚への複雑な思い  死刑制度&リアリティ・ショーへの警鐘を宿す本作と  生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。