映画に感謝を捧ぐ! 「泣きぬれた天使」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。  今回はアンドレ・ベルトミュー監督の「泣きぬれた天使」に  感謝を捧げようと思います。  戦争によって視力を失った彫刻家「ジャック」と  彼を取り巻く人々の運命を描いた本作は  恋愛映画史上屈指の平衡感覚を誇る作品であります。  賑やかでありながらも平穏な日常が  「戦争」の影響によって  美しくも哀しい日々へと変異していく姿を  ユーモアとシリアス、娯楽的サービスと純文学性  情緒と効率のバランスを保ちながら描いていくストーリー&演出は  私に「硬軟兼ね備えた物語の醍醐味」と  「戦争の間接被害&運命に翻弄される人間心理」を  クール且つロマンティックに表現する技法の一端を  目の当たりにする機会をもたらしました。  (状況設明や感動誘発を抑制する事によって  優しさと渋味の利いたハッピー・エンドとなっている点も  見逃せません。)  まさに「フランス製人情派恋愛映画」の静かなる強豪作であると言えるでしょう。  運命の悪戯によって複雑化していく男女関係を  愛憎劇の臭みを抑制し、人情味のある方向へと進めていく作劇力と  状況説明的表現に依存せず  自然な形で「登場人物の思い」を写し出す映像技に彩られた本作と  生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。