映画に感謝を捧ぐ! 「ヴァニシング・チェイス」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。  今回はリー・ディヴィス監督の「ヴァニシング・チェイス」に  感謝を捧げようと思います。  NYで暮らすタクシー・ドライバー3人の運命を描いた本作は  1976年の映画「タクシー・ドライバー」の流れを汲みつつ  群像劇&社会派風味を強化することによって生を受けた日常劇であります。  タクシー・ドライバーたちの日常を通じて  アメリカの病理、世界の暗部、都会生活に潜むストレス要因を描くという発想と  アクション・サスペンス・ロマンス・コメディの技法を  融合させる娯楽技術力を兼ね備えたストーリー&演出と  国際色豊かな俳優&女優陣が一体となる光景は  私に「教材性と娯楽性の共存」・「タクシー・ドライバーの映画的可能性」  「複数の運命を段階的に繋いでいく作劇法」の一端を  目の当たりにする機会をもたらしました。  (アクション&サスペンス風味漂う邦題によって  「外国映画を日本で売る戦術」の一端を示している点と  能天気なハッピー・エンドを避けつつも  後味の良い幕切れとなるよう配慮されている点も見逃せません。)  まさに「陰性日常劇」の雄と呼ぶにふさわしい作品であるといえるでしょう。  社会派の苦味、人間模様の醍醐味、娯楽的サービス精神  NYの光&闇が複雑に絡み合う本作と  生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。