映画に感謝を捧ぐ! 「マニアック(1934年版)」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。  今回はドウェイン・エスパー監督の「マニアック(1934年版)」に  感謝を捧げようと思います。  エドガー・アラン・ポーの小説「黒猫」を  もとにして作られた本作は  映画史上屈指の「混沌」を世に送り出した  大いなる怪作であります。  異常心理サスペンスと「フランケンシュタイン」系ホラーを  強引に組み合わせたストーリー&演出と  教材映画&サイレント映画的解説が交互に進行する光景は  私に芸術的狂気、見世物的計算、文学&倫理的装飾を混ぜ合わせ  論理性への配慮&バランス調整を放棄することによって発生した  怪現象を目の当たりにする機会をもたらしました。  (突如として乱入するE・A・ポーマニア魂&精神世界的イメージ映像と  娯楽映画的決着へと着地する堅実さと  「ハッピー・エンド」が主観的概念に過ぎないことを  世に訴える過激さを兼ね備えた幕切れとなっている点も  見逃せません。)  まさに「不条理型ホラー」の究極形態と呼ぶにふさわしい  作品であると言えるでしょう。    学者的狂気、演技者的狂気、金銭&支配欲系狂気に  支配された人間の心理を  暇つぶし規模の物理的スケール感と  宇宙規模の作劇的スケール感の限りを尽くして描くことに挑む人々によって  究極の不条理へと導かれた  マッド・サイエンティスト的怪作である本作と  生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。