映画に感謝を捧ぐ! 「ゴールキーパーの不安」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。  今回はヴィム・ヴェンターズ監督の「ゴールキーパーの不安」に  感謝を捧げようと思います。  サッカー選手「ヨーゼフ・ブロッホ」の運命を描いた本作は  穏やかでありながらも哀愁&不安感をかき立てる  異色の日常劇であります。  殺人・暴行・逃避行を描きながらも  クールに進行するストーリー&演出と  素朴感満載の俳優&女優陣・風景が一体となる光景は  私に「異常心理サスペンス」的状況に  「試合を客観的に見つめる」ゴールキーパー気質  V・ヴェンターズ監督の「旅行愛&文学性」  ホームドラマ&道中劇風味を加えることによって生じる  科学反応を目の当たりにする機会をもたらしました。  (様々な問題に目を背け「試合終了」と共に幕切れを迎えることによって  人間は「世界のすべてを知ることのできない」存在であるという事と  スポーツ&人生が「過程よりも結果が重視されやすい」存在であることを  示しているという点も見逃せません。)  まさに「日常系道中劇」史上屈指の実験性&メッセージ性を感じさせる  作品であると言えるでしょう。  状況設明&娯楽的盛り上げを抑制し  「第三者的目線&淡々とした進行」を保ち続ける映像技&作劇法によって  世界における人間の小ささ、人生の神秘性、都会の冷酷さを写し出す本作と  生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。