映画に感謝を捧ぐ! 「フローラ」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。  今回はヤン・シュヴァンクマイエル監督の「フローラ」に  感謝を捧げようと思います。  野菜の体を持つ人間を襲う悲劇を描いた本作は  瞬発的恐怖が冴え渡る脅威の怪作であります。  「死」に至りつつある命が抱く恐怖と  生存本能に基づく抵抗を  怪奇恐怖とブラック・ユーモアの入り交じった映像で  表現するという発想と    独特の映像美と躍動感に溢れた映像を生み出す技術力が  一体となる光景は  私に「ワン・アイデアを徹底追求した映画」の究極形態と  最小限度の映像で最大限の映像的インパクトを与える  大いなる実験に立ち会う機会をもたらしました。  まさに「怪奇アニメーション」史上最小級の時間で  死の恐怖を体現した作品であると言えるでしょう。  数秒間のアニメーション映像によって表現された「肉体崩壊」によって  台詞、モンスター、人間模様に依存することなく    空間限定型サスペンス&ホラーの恐怖を  生み出すことが可能であることを示した本作と  生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。