映画に感謝を捧ぐ! 「戦場の黙示録(2008年版)」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。  今回はヴァーツラフ・マルホウ監督の「戦場の黙示録」に  感謝を捧げようと思います。  スティーヴン・クレインの小説「赤い武功章」を  もとにして2008年に作られた本作は  陰鬱なる人間模様&戦闘描写に彩られた戦争映画であります。  戦地での日常&戦いを淡々と写し出すストーリー&演出と  個性を極限まで抑制したキャラクター造形が一体となって  「戦争がもたらすモラル&人間味の崩壊」を写し出していく光景は  私に「映像的反戦メッセージ」の一形態と  第2次大戦期のチェコ・スロバキア事情の一端を  目の当たりにする機会をもたらしました。  (戦況を明瞭化することなく訪れる幕切れが  戦場における「兵士」の立場を体現している点も見逃せません。)    まさに「日常系戦争映画」史上屈指の陰性ぶりを  感じさせる作品であると言えるでしょう。  娯楽的盛り上げを極限まで抑制した物語&映像と  冷徹なまでに乾ききった風景によって  台詞以上の存在力で「戦争の残酷さ」を世に示した本作と  生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。