映画に感謝を捧ぐ! 「噫無情(1935年版)」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。  今回はリチャード・ボレスラウスキー監督の  「噫無情(1935年版)」に感謝を捧げようと思います。  ヴィクトル・ユゴーの小説「レ・ミゼラブル(噫無情)」をもとにして  1935年に作られた本作は    様々な分岐点を感じさせる純文学系作品であります。  舞台要素と映画要素、宗教性と俗物性  活劇と人間模様、人情と法治主義が混ざり合うことによって  生を受けたストーリー&演出、キャスト陣が  効率的且つ重厚に進行する光景は  私に「文学と娯楽の平和的共存」、「法と正義漢のせめぎ合い」  「純文学小説の映画化におけるスケール抑制術」の一形態と  「1800年代のフランス事情」の一端を目の当たりにする機会をもたらしました。  (ある登場人物の「最期」を曖昧化することによって  陰鬱さを薄めるよう配慮された幕切れとなっている点も    見逃せません。)  まさに「文学+社会派史劇」の一翼を担う作品であると言えるでしょう。  文学性と娯楽的サービス精神の均整を保つよう配慮しながら  映画界における「レ・ミゼラブル路線」の幕開けを告げた本作と  生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。