映画に感謝を捧ぐ! 「死よ、万歳」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回はフェルナンド・アラバール監督の「死よ、万歳」に
感謝を捧げようと思います。
フェルナンド・アラバールの小説「バビロンの邪神」を
彼自身の脚色によって映画化した本作は
俗物的にして純文学的な怪作であります。
内戦によって父を失い、母と二人で暮らす少年の心中に潜む
トラウマ&イマジネーションを体現した
暴力的&性的且つ幻惑的な映像と
穏やかなる陰鬱さに包まれた日常風景が交錯するストーリー&演出と
場違いなまでに陽気&叙情的な音楽が一体となる光景は
私に「武力支配」がもたらす精神的ダメージ
環境&家族が人間に与える影響、野性と文学性を結ぶ絆の一端を
目の当たりにする機会をもたらしました。
(「大義」に取り憑かれた人間の狂気を感じさせる邦題と
穏健でありながらも破滅&死の香り漂う
幕切れとなっている点も見逃せません。)
まさに「不条理文学系子供映画」の究極形態を
感じさせる作品であると言えるでしょう。
スペイン映画的残酷&性描写、純文学ムード
ヨーロッパ絵画&コミック的絵柄、陰性日常劇の佇まい
スペイン史の一端が共存する本作と
生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。