映画に感謝を捧ぐ! 「バウンド9」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回はテイラー・シェリダン監督の「バウンド9」に
感謝を捧げようと思います。
謎の一団によって監禁された男女9人の運命を描いた本作は
「不快なスリル&サスペンス」の極限を目指して突き進む
凶悪作であります。
不鮮明&残酷趣味的な映像の連打
「残酷描写&陰性の人間模様を見せる」ために
状況設明&論理性の確保を拒み
緩慢且つ強引に進行するストーリー
軽量級ホラー映画風味漂うキャラクター造形が
一体となる光景は
私に「登場人物の怒り&混乱を共有する」感覚と
見世物的残酷さ&優等生的狂気の一形態に
接する機会をもたらしました。
(敵兵に対する復讐を果たしつつ
「諸悪の根源」を野放しにする幕切れが
人類史の残酷さを体現している点も見逃せません。)
まさに「空間限定型サスペンス」の歴史に潜む
モンスター的作品であると言えるでしょう。
2000~10年代を彩る悪食作「ソウ」・「ホステル」・「リミット」の流れを汲みつつ
頭脳戦&仇討ち要素を抑制し
沈滞感&残酷趣味性に特化する事によって生を受けた本作と
生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。