映画に感謝を捧ぐ! 「雨の訪問者」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。  今回はルネ・クレマン監督の「雨の訪問者」に  感謝を捧げようと思います。  航空機パイロットの妻「メリー」と謎の男「ドブス」の  運命を描いた本作は  スリル、ユーモア、ロマンスが上品に絡み合う  サスペンス映画であります。  倒叙サスペンスの王道と恋愛劇の香りに溢れた  「男女の交流」をクール且つスリリングに写し出すストーリー&演出  情緒溢れる音楽、C・ブロンソン&M・ジョベールの渋味が  一体となる光景は  私に「ブラック・ユーモアとロマンに溢れた心理戦&どんでん返し」と  「情緒と怪しさを兼ね備えた男女関係」の醍醐味を  目の当たりにする機会をもたらしました。  (「愛」が真実を凌駕するハッピー・エンドが  勧善懲悪とは一味違う味わい深さを放っている点も見逃せません。)  まさに「フランス製ムード派サスペンス」の一翼を担う  一作であると言えるでしょう。  鑑賞者を驚かせるための複雑な犯罪トリック&映像的インパクトに依存せず  会話劇の魅力と技巧的映像表現を重視する事によって  品格と渋味に溢れたサスペンス&捻りの利いたラブ・ストーリーとなった本作と  生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。