映画に感謝を捧ぐ! 「戸田家の兄妹」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回は小津安二郎監督の「戸田家の兄妹」に
感謝を捧げようと思います。
当主を失った名家「戸田家」の運命を描いた本作は
驚異的なバランス感覚に彩られた和製ホームドラマであります。
「当主の死&名声と財政状況の乖離」によって
陰鬱化していく人間模様と喜劇風味
大衆娯楽気質と純文学性
スター主義と物語性の均整を保ちつつ
静かに進行していくストーリー&演出は
私に「人生のドラマ性」・「スリル&サスペンスと人情味の共存」
「日本的家族文化」の一端を目の当たりにする機会をもたらしました。
(恋愛劇的方向に向かうと見せかけて「肩すかし」を喰わせる幕切れが
男の繊細さ&女性の精神的強靱さを体現している点も見逃せません。)
まさに「世代間抗争系家族劇」の一翼を担う作品であると言えるでしょう。
家族の静かなる崩壊と再生への一歩を
俗物的見せ場&見世物的映像技に依存することなく描くことに挑んだ本作と
生きて映画を観ることのできる幸せに深い感謝を!!!。