映画に感謝を捧ぐ! 「突然炎のごとく(1994年版)」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回は井筒和幸監督の「突然炎のごとく(1994年版)」に
感謝を捧げようと思います。
海沿いの町で暮らす男女2人と彼らを取り巻く人々の
運命を描いた本作は
陰鬱にしてクールな和製恋愛劇であります。
性欲と無軌道感にまみれた人々の日常を
淡々と描きつつ
複雑化していく男女関係を巧みにまとめ上げるストーリーと
日常劇とポルノが絡み合った演出が一体となる光景は
私に「穏やかにして無秩序な男女関係」と
人間社会を包む「縁」の複雑怪奇さを
群像劇+ポルノ的に描写する技法の
一形態を目の当たりにする機会をもたらしました。
(穏やかなる死臭が漂う「決着」から
男の精神的弱さを体現するかのような幕切れと
なっている点も見逃せません。)
まさに「陰鬱系男女関係論」の一翼を担う
軽量級作品であると言えるでしょう。
複雑怪奇な人間模様とセックスに溺れ、静かに破滅していく男女の姿を
青春映画、愛憎劇、陰性文学の香りを
入り交じらせながら写し出していく本作と
生きて映画を観ることのできる幸せに深い感謝を!!!。