映画に感謝を捧ぐ! 「銀嶺の果て」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。  今回は谷口千吉監督の「銀嶺の果て」に  感謝を捧げようと思います。  強盗3人組と彼らを取り巻く人々の運命を描いた本作は  硬軟のバランス感覚に長けた和製泥棒映画の雄であります。  逃亡劇、冒険活劇、人情劇の持ち味が  絶妙のバランスで配合されたストーリー&演出  スケール感と自然美を兼ね備えた風景描写  渋味の利いた俳優&女優陣が一体となる光景は  私に「自然の雄大さと人間の小ささ」を  活劇的且つ文学的に表現する技法と  「スリル&サスペンスとユーモア&人情の平和的共存」の  一形態を目の当たりにする機会をもたらしました。  (勧善懲悪の爽快感とホームドラマ的和やかさが  互いの持ち味を生かし合う幕切れとなっている点も見逃せません。)  まさに「道中系泥棒映画」の一翼を担う強豪作であると言えるでしょう。  冬山の魅力&危うさ、欲望に取り憑かれた人間の恐ろしさ&滑稽さ  西部劇の特性と日本映画的情緒を組み合わせ  段階的にスリル&サスペンスを増していく映像技&作劇法  東宝&日本映画の歴史を彩るスター陣が一堂に会し  後年の犯罪映画&山登り映画に対する道しるべの一つとなった本作と   生きて映画を観ることのできる幸せに深い感謝を!!!。