映画に感謝を捧ぐ! 「素晴らしき放浪者」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回はジャン・ルノワール監督の「素晴らしき放浪者」に
感謝を捧げようと思います。
放浪者「ブデュ」と古本屋経営者「レスタンゴア」の
運命を描いた本作は
陽気なブラック・ユーモアに彩られたドタバタ喜劇であります。
本性を隠すことによって平穏さを保っていた古本屋の日常が
マイペースな放浪者によって変貌していく姿を
サイレント喜劇、会話劇、ラブ・コメディの技法を使い分け
豪快且つ上品に写し出していくストーリー&演出は
私に「穏やかな日常に対するささやかな不満」
「庶民階級が上流階級に抱くイメージ」
「異階級交流の光と闇」を映画的に表現する手法と
「性的な場面を巧みに抽象化し、鑑賞者の想像力を刺激する技法」の
一形態を目の当たりにする機会をもたらしました。
(ラブ・コメディ的ハッピー・エンドを豪快にひっくり返し
孤独でありながらも奔放な人生を求める男の姿が
倫理観の枠を超えた独特の哀愁と感動を
呼び起こす幕切れとなっている点も見逃せません。)
まさに「日常喜劇系階級闘争&男女論」の一翼を担う
作品であると言えるでしょう。
日常劇の香り漂う世界の中で
心和むユーモアと意地悪なユーモア
上品さとアウトロー気質が複雑に絡み合う本作と
生きて映画を観ることのできる幸せに深い感謝を!!!。