映画に感謝を捧ぐ! 「ヒトラーの野望 開戦への序曲」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。  今回はフランク・キャプラ監督の「ヒトラーの野望 開戦への序曲」に  感謝を捧げようと思います。  フランク・キャプラ監督+アメリカ軍による宣伝映像  「なぜ我々は戦うのか」の一翼を担う本作は  多彩な技術力を駆使した宣伝映像であります。  歴史&世界情勢の知識、ブラック・ユーモアのセンス  サスペンス&ホラー的映像技法  娯楽映画的編集術の限りを尽くして  「アメリカの偉大さ」をアピールしつつ  枢軸国(日本、ドイツ、イタリア)への戦意を煽る戦術は  私に「F・キャプラ監督の娯楽技術」の軍事的利用法と  民主主義の旗を掲げつつ「ファシズム的」な扇動が  展開されてしまう現象の一端を  目の当たりにする機会をもたらしました。  (ドイツ&日本の危険性&強敵感を誇張しつつ  イタリアを「小者」的に描写している点と  昨今の米ドラマにおける「シーズン最終話」的煽りで  幕を閉じる構造になっている点も見逃せません。)  まさに「戦意高揚系歴史論」の歴史に輝く  過激作であると言えるでしょう。  枢軸国に対する「アメリカ的解釈」  アメリカに都合の良い部分のみを取り上げ  巧みに「編集」された歴史論  民主主義と平和を愛するという看板の裏で  繰り広げられる「アクション映画的扇動」によって  アメリカ精神を称えつつ  アメリカ人の自国本意さを批判し、戦いへと向かわせる作品であると同時に  当時の日独伊とアメリカが外見以上に類似した存在であることを  暗示する作品でもあるという現状に戦慄を禁じ得ない本作と  生きて映画を観ることのできる幸せに深い感謝を!!!。