映画に感謝を捧ぐ! 「脱獄広島殺人囚」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回は中島貞夫監督の「脱獄広島殺人囚」に
感謝を捧げようと思います。
懲役20年の刑を受けた後
7回にわたって脱獄を繰り広げた結果
懲役41年7ヶ月となった男の生涯をもとにして作られた本作は
逆境に身を投じ続けることによって
凶暴さと計算高さを深めていく主人公の勇姿と
いかなる状況下にあっても「彼を殺さない」事を貫き通す刑務官陣営の執念に
圧倒されつつも心癒される実話系刑務所映画であります。
1970年代の東映ならではの暴力性&ユーモア
刑務所映画の王道&逃亡劇のスリル
東映実録路線を彩る男たち
荒々しくもユーモラス「主人公の心の声」
1920年代の日本社会の一端が複雑に絡み合う光景は
私に東映が誇る「極道人脈」
1960年代のアメリカ映画に便乗しつつも
個性を保ち続けるバランス感覚
反権威的精神、娯楽人魂、倫理観のせめぎ合いが
融合することによって生じる科学反応を
堪能する機会をもたらしました。
(和やかさ&危うさの中に「命の鼓動」を感じさせる幕切れが
アクション映画的ハッピー・エンドとは一味違う感動と渋味を
もたらしている点も見逃せません。)
まさに「和製刑務所映画」の雄と呼ぶにふさわしい
凶悪なる爽快作であると言えるでしょう。
「仁義なき戦い」の流れを汲む映像技&キャラクター造形と
中島貞夫監督&松方弘樹の名コンビが織りなす味わいによって
「東映刑務所シリーズ」の幕開けを告げた本作と
生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。
追伸 本作の主演男優
松方弘樹氏のご冥福を祈ります。