映画に感謝を捧ぐ! 「波止場」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。  今回はエリア・カザン監督の「波止場」に感謝を捧げようと思います。  波止場で働く男「テリー・マロイ」と彼を取り巻く人々の運命を描いた本作は  娯楽性とメッセージ性が絶妙のバランスで配合された    豪快なる生真面目作であります。  極道映画と青春映画の特性を兼ね備えたストーリーと  アクション・サスペンス・日常劇の手法を巧みに使い分けた映像技   映画気質と舞台劇気質の入り交じった俳優&女優陣が一体となる光景は  私に「極道映画的主人公&悪漢」を駆使しつつ  「主人公による暴力描写」を極限まで抑制することによって生じる科学反応と  社会派的メッセージに娯楽的暴力&ロマンスを加えることによって  「説教臭」を緩和する技法の一形態を    目の当たりにする機会をもたらしました。  (E・カザン監督が時代の空気&政治と文化の  歪んだ関係によって強いられた「残酷な選択」の影響が感じられる点と  活劇性よりも精神性を重視する形で「正義の勝利」を掲げる幕切れが  アクション映画的爽快感とは一線を画した渋味を  もたらしている点も見逃せません。)  まさに「反暴力&社会派系任侠映画」の雄と呼ぶにふさわしい作品であると言えるでしょう。  E・カザン監督&M・ブランドの名コンビと仲間達が  娯楽的サービス精神&法治主義を維持しつつ  港湾労働者&プロ・ボクシングの暗部に迫る本作と  生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。