映画に感謝を捧ぐ! 「アドルフ・ヒトラーの肖像」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。  今回は「アドルフ・ヒトラーの肖像」に感謝を捧げようと思います。  ナチス党首アドルフ・ヒトラーの生涯をもとにして  1940年に作られた本作は  時代の空気と人類への皮肉を感じさせる宣伝用映像であります。  ドキュメンタリー、アクション、ホラー  ホームドラマ、アニメの技法を融合させ  A・ヒトラーナチスの「悪行」を強調することによって  彼らと同じ気配を放っていく映像&語り口は  私に「戦いに生きる人間の宿命」・「第2次大戦期のヨーロッパ事情」  「客観性を喪失したドキュメンタリーの恐怖」  「政治&軍事的宣伝技術」の一端を  目の当たりにする機会をもたらしました。  (イギリスで生を受けた宣伝用映像であるにもかかわらず  急加速的に「アメリカ礼賛+米ドラマ的クリフハンガー」へと転じる幕切れが  連合軍の内情&アメリカに対する過剰な期待感を  体現している点も見逃せません。)  まさに「政府&軍部御用達映像入門」の一翼を担う作品であると言えるでしょう。  「連合軍目線のA・ヒトラー論」の幕開けを告げると同時に  連合軍内部に潜む「ナチス風味」と  ドキュメンタリーに宿る「危険要素」を写し出す  無意識的&ブラック・ユーモア的過激作となった本作と  生きて映画を観ることのできる幸せに深い感謝を!!!。