映画に感謝を捧ぐ! 「旅路の果て」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回はジュリアン・デュヴィヴィエ監督の「旅路の果て」に
感謝を捧げようと思います。
俳優&女優向けの養老院で暮らす人々の
運命を描いた本作は
人生&芸道の陰と陽が交錯する日常劇であります。
「舞台」に魅入られ、人生を捧げながらも
時の流れがもたらす心身の変化と
鑑賞者たちの気まぐれによって
表舞台から引き離された人々の生き様を
人情味と冷徹さ、映画技法と舞台技法を使い分けながら写し出していく
ストーリー&演出、キャラクター造形は
私に「人気商売の光と陰」・「運命の無常さ」
「一芸を極めようとする人々の情熱&狂気」を
娯楽性、文学性、社会性の均整を保ちながら
表現していく妙技の一形態を
目の当たりにする機会をもたらしました。
(悲劇的でありながらも
「才覚を持ちながら、現実に対する拒否感&演技への過剰な傾倒によって
誤った方向へと進んでしまった」人間と
「情熱を持ちながら才能&機会に恵まれず、不遇の人生を歩んだ」人間への
愛情を感じさせる幕切れとなっている点も見逃せません。)
まさに人生の最終章に立つ人々を題材とした
「陰性舞台裏映画」であると言えるでしょう。
舞台劇的過剰さを緩和し、現実感を持たせる表現力
芸道に生きる人々に対する鋭くも優しい目線
暴力&犯罪に依存しないスリル&サスペンスに包まれた本作と
生きて映画を観ることのできる幸せに深い感謝を!!!。