映画に感謝を捧ぐ! 「オトラントの城」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。  今回はヤン・シュヴァンクマイエル監督の  「オトラントの城」に感謝を捧げようと思います。  ホーレス・ウォルポールの小説「オトラント城奇譚」を  もとにして作られた本作は  軽妙なるロマンに彩られた疑似実録映画であります。  「オトラント城奇譚」を実話系小説と見なし  リポーターと学者の質疑応答と  資料を基にした「歴史の再現映像」を交互に写し出すという試みは    私に「ファンタジー」を史実化させる技法、歴史学者の宿命  中世ヨーロッパの家族&恋愛事情を歴史教材的に表現する手法の  一形態を目の当たりにする機会をもたらしました。  (ファンタジーへの愛と怪奇風味が交錯する  奇妙な幕切れとなっている点も見逃せません。)  まさに「歴史教材風ファンタジー」の一翼を担う  作品であると言えるでしょう。  童話的ムード、ドキュメンタリー風味  複雑怪奇な人間模様、サイレント技法  科学主義と神秘主義のせめぎ合いが交錯する本作と  生きて映画を観ることのできる幸せに深い感謝を!!!。