映画に感謝を捧ぐ! 「スパイダー・パニック!2012」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。  今回はジム・ウィノースキー監督の「スパイダー・パニック!2012」に  感謝を捧げようと思います。  イラクから襲来した毒グモ集団に立ち向かう  人々の姿を描いた本作は  暇つぶし的外見の中に「過激なブラック・ユーモア」を宿す  モンスター映画であります。  「戦場化した中東で生まれ育った毒グモが  米兵の死体と共に訪米し、アメリカを戦場に変える。」  「平和主義&反軍的な青年が銃を取り  兵士と共に毒グモと戦う」  「兵士一行の物語を丹念に描く一方で  若者一行の運命は抽象化される」といった  政治風刺的な要素と  見世物&安物感満載のストーリー展開&映像が  融合することによって生じる科学反応は  私に「和やかな残酷趣味と社会派風味の共同戦線」と  「アメリカにおける西部劇文化の名残」の一形態を  目の当たりにする機会をもたらしました。  (清々しいまでの「便乗商品感」に圧倒される邦題と  「映画と現実の境界線が崩壊していく」恐怖を  写し出すかのような幕切れとなっている点も見逃せません。)   まさに「巨大系+集団系モンスター映画」史上屈指の  緩やかなる過激作であると言えるでしょう。  長きにわたってアメリカ小規模映画界に君臨した  R・コーマンならではのサービス精神&反権威性と  2010年代型軽量級CG技術によって  大衆食堂的魅力と社会派的メッセージ性を兼ね備えた  大いなる珍作となった本作と  生きて映画を観ることのできる幸せに深い感謝を!!!。